大人になるとは、夢を諦めること

華やかに見える美容の世界へ飛び込み、挫折。
なにかと理由をつけて美容業界から逃げ去った。

逃げた先の世界は、お金のないフリーター。
そして結局、ごく平凡な会社員になっていた。

「夢」や「自由」とかけ離れた世界だった。

オシャレが好きで美容師になったけど、今やオシャレなんてどうでもよくなっていた。

いや正確にいうと、そのような事にお金や神経をかけるほどの余裕が持てなかった。

毎日朝から晩まで働く。

疲れて安アパートに戻ってきて、なるべくお金のかからないエサのような飯で腹を満たす。

そしてまた朝がやってきて働きに行く。

夢すら持てず、明日を生きる事で精一杯。
メリハリもなければ彩りも無い、毎日が消化試合のような日々。

こんな生活で歳をとっていく。
仕事にもやりがいを見いだせず、仕事以外の楽しみをする余裕もない。

「大人になるとは、夢を諦める事」

そんなフレーズ聞いた事があったけど、本当にそうなの?
だとしたら一体おれは何のために生きているのだろう。

度々そんなことを思った。

「諦めなければ夢は叶う!」

「思考は現実化するんだ!」

「意思が世界を変えるんだ!」

そんな、自己洗脳のような精神論だけが最後の砦だった。
しかしそれももう、風前の灯火。
いつ崩れ去ってもおかしくなかった。

おれはこのまま夢を諦める側の人間になってしまうのだろうか。
やはりおれは何をやってもダメな、無能で残念な人間なのだろうか。

このまま歳をとって、若い人を見た時に
「学生のうちにやりたい事はやっておけ」
みたいな、夢を壊す、クソな大人になるのだろうか。

そんな事を考えながら、
今日も朝から満員電車に揺られるスーツ姿の自分がいた。

 

00『目次〜元美容師が自由を手にした物語り〜』

01『世界中が職場で世界中が遊び場になった』

02『理想と現実のあいだ』

03『絶望的将来が見えた』

04『社会の底辺』

・05『大人になるとは、夢を諦めること』 ←今ココ

06『Just Do It !!』

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